ネパールの標高3840mプチ移住18日目、満天の星空のエベレスト

午後11時頃、おしっこがしたくなって外に出た。前にも書いたが、この家にはトイレというものがないため、おしっこは外でする。そして外に出て驚いた。いつもは雲に覆われているのだが、この夜は雲一つなく、周りのヒマラヤの山々がくっきりと見える。


ネパール エベレスト 星空

おしっこもほどほどに、さっそくカメラを持ち出して、深夜にもかかわらず村の中を歩き回る。もし誰かが見ていたら、絶対に不審者と思われるだろう。

月は満月に近いため、深夜でもかなり明るい。ライトなしでも道はしっかり歩けるほどだ。しかしなんていう美しさだろう。タムセルクもアマダブラムも、昼間見るよりもはっきりくっきり見えすぎる。それほど空気が澄んでいるんだろう。あまりにもったいないほどの光景なので、ここから30分ほど登って裏山の尾根までカメラを担いで行ってみることにした。


ネパール エベレスト 星空

クンデ村からはエベレストは見えないが、裏山の尾根まで登ると見える。さて、この深夜に果たしてエベレストが見えるのだろうかと半信半疑で尾根に出てみると、その奥にくっきりとエベレストの三角頭が見えた。昼間はけっこう雲に覆われて見えないことも多いのだが、寒いのに大汗かいて登ってきたかいはあった。


午前2時ごろになると、月が山影に入って急に暗くなっていく。それとともに夜空に有り余るほどの星が出てきた。あまりに満天の星空なので、カメラを長時間露光で撮影してみたら、こんな写真になってしまった。


ネパール エベレスト 星空 寝袋


ネパール エベレスト 星空 温度計

それにしても寒い!尾根なので谷底から吹き上げてくる風がとてつもなく冷たい。温度計を出して計ってみたら氷点下10度だった。温度計もペットボトルの水もどんどん凍っていく。あまりに寒いんで、寝袋を出してその中に入って夜空を見ていたら、その寝袋も真っ白になってしまった。こんな寒い真夜中にアホなことやってんな、と自分でも思いながら寝袋から顔を出しているが、世界最高峰を満天の星空の下に見ながら夜を明かすことが、自分の人生の中で経験できた喜びみたいなものもちょっと感じられてうれしい(すごい自己満足ですが…)!


ネパール エベレスト 星空 夜明け

午後5時ごろになると、タムセルクとアマダブラムのあたりが明るくなってきた。夜明けも近い。寝袋から夜空を見上げていると、時々流れ星が尾を引いて流れていく。


ネパール エベレスト 夜明け

やがて朝日がエベレストの三角頭を照らし始めた。日の光はエベレストの斜め後ろから当たるため、山自体は逆光だ。しかし山頂から強烈な強風で次々と湧き上がってくる雲が赤く染まり、まるでエベレストが噴火しているようにも見える。

いやー、登ってきてよかったわー!

投稿者: asiansanpo

元読売新聞東京本社写真部。2016年3月、早期退職し、アウンサンスーチーの新政権が誕生したミャンマーに移り住み、1年半にわたり全土を回りながらミャンマーの「民主化元年」を撮影。2018年9月からは、エベレストのふもと、標高4000㍍の村で変わりゆくシェルパ族とともに9か月間生活した。日本では過疎地を拠点とし、衰退していく地方の実態を体験している。

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