クンデ村の食事

最近、毎日どんなものを食べようかと悩んでいる。食べることは生きていくうえで一番欠かせないものなので、どうしても食べることに時間を費やす。

僕は旅行と”プチ移住”の違いは食事なのではないかと思っている。旅行では自分で食事を作ることは普通しないので、ほとんど外食となる。一方”プチ移住”では基本自炊をする。中には全部外食という人もいるだろうが、現在住んでいるところでは外食産業があるわけではなく、レストランや喫茶店もナムチェなどに行かないとないので、ここで生活していくには自炊は欠かせない。

前にも書いたが、クンデ村は富士山よりも高い標高なので、ジャガイモしか育たない。30年前に来たときは、ゆでたジャガイモに塩を付けて毎日食べていたような気がする。しかしこれがけっこうおいしい。

シェルパの方々はジャガイモで作るポテトパンケーキ「リキクル」がものすごく好きなようだ。これにヤクバターとチリソースをつけて食べるのだが、それほど味があるわけでもないので、とりたてておいしいとも思わない。外国人の中には、ヤクのバターやチーズが臭くて食べれないという人もいるから、ちょっとハードルが高いかもしれない。昔と違って米が標高の低いところから入ってくるので、シェルパの人もネパールの国民食「ダルバート」を普通に食べている。

ところで自炊していると、なじみのないシェルパの食べ物を作る方がかえって難しい。はじめのうちは作り方を習ったりしていたが、種類も少ないのでだんだん飽きてくる。そこで最近では週に一度の市場で買える食材を使って日本食(もどき)を作っている。

先週市場に買出しに出かけたら、豚肉がおいしそうだったので買ってみた。こんな塊で売っているが、日本のスーパーで売られている肉よりも色は鮮明で新鮮そうだ。豚肉と言えばしょうが焼きかなと思い、しょうゆに付け込んで焼いてみた。絶対においしいそうだ、と思ったが、食べてみたら肉に筋がかなり入っていて、固くて噛み切れない。日本のようにしょうが焼き用に薄く切って売られているわけではないので、しょうが焼きステーキになってしまった。今度作るときは一口大に切らないとと反省。

しょうが焼きにそえたキャベツだが、これも市場に標高の低い地域から運ばれてきたもの。クンデ村で育ったキャベツは小さい。ちなみに市場で買ったニンジンを比べて見たら、写真のように標高の下から運ばれてきたニンジンの方がクンデ村のニンジンよりもかなり大きい。気温の差で育つ大きさの違いは明らか。人間と同じように、標高が高いと野菜も高山病になるのかどうか知らないが、気温は寒いので大きくならないのだろう。

さて、市場で500g買った豚肉がまだ残っているので、これを利用して何か作れないか考えていたが、家に小麦粉やカレーパウダーがあったので日本カレーに挑戦してみた。ただカレールーは手に入らないので、ルーを作るところから始める。玉ねぎを炒め、小麦粉やバターなどを加えほおっておいたら固まった。

日本のカレールーを買って箱に記載されている原材料を見てみると、いろんなものが含まれている。中にはなんだかよくわからないものまで入っているので、体にいいのかどうかもよくわからない。今回作ったカレールーは最低限の材料しか入れてないので、見た目はかなり違うが、体にはいいだろう。味の方は何かが足りないような気もするが、おそらく明治時代にイギリスから日本に入ってきたカレーライスはこんな味だったのではないか、と勝手に思って食べてみた。

たまにはみそ汁を飲みたいな、などと思ったが、もちろん日本の味噌が手に入るわけもない。ただネパールでは「ダルスープ」といって豆のスープを日本の味噌汁のように毎日飲んでいるので、それでも作ろうかと思い市場で豆を買ってきた。日本では見ないオレンジ色の豆だが、インドカレーなどではよく見る豆だ。これを1カップ(といっても日本のカップの大きさと違うが…)と水3.5カップで圧力鍋で煮てみた。

結果、原型をとどめないほどどろどろになってしまって完全に失敗。しかも元の5倍以上に膨れ上がっている。この大量の失敗作をどうしようかと思ったが、色が芋ようかんに似ているので、砂糖やミルクパウダーを入れてさらに煮詰めてみた。この家には冷蔵庫がないが、夜の気温は氷点下まで下がるので、そのまま窓際に置いておいたら次の日、しっかり固まっていた。見た目は完全に芋ようかん。味もまあ和菓子のようでなかなかおいしい。これはこれでいけるかな…?

なんてことをしながら、食べることに楽しみを見出しているこの頃です。

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