ネパールの標高3840mプチ移住23日目、一年に一度の仮面舞踊祭

10日ほど、クンデ村を離れて標高の高いところに行っていたため、ネットが通じず更新が止まってしまった。もうプチ移住してから1か月以上たったのだが、まずは先月26日にタンボチェで行われた年に一度の仮面舞踊祭についてアップします。

タンボチェはクンデ村から歩いて約3時間ほど、標高は3867mとほとんどクンデと変わらないが、いったんプンキテンガという川底まで降りて再び上がるのでけっこう着くまでかったるい。

タンボチェはシェルパ族が家を構えて住む村ではなく、この寺院と数軒のロッジしかない。ここで一年に一度「マニ・リンドゥ」という仮面舞踊が行われる。仮面舞踊はブータンやインドのラダック地方などで行われる、チベット仏教(ラマ教)ならではの独特の踊りなのだが、だいたい辺境地で行われるため今まで見る機会がなかった。

マニ・リンドゥは10月下旬から11月にかけての満月の日に行われる。太陰暦を使っているため、毎年開催の日がずれる。はじめみんなが11月だと言うのでのんびりしていたが、今年は10月だとつい最近知って、慌ててタンボチェまでやってきた。というのも、シェルパの人たちに聞いても正確にマニ・リンドゥの日にちを知っている人が少なくて、けっこう人によって言うことが違う。結局最後まで仮面舞踊の日が25日か26日かはっきりしなかった。

タンボチェまで来ると、エベレスト(左)とローチェが並んで鎮座しているのが真正面に見えるが、クンデの裏山に登った方が標高が高いため、頂上がよく見える。

ところで今回タンボチェに着いてみると、ロッジがすべて満室だという。もともとエベレスト街道のメインルート上にありながら、ロッジが数軒しかないうえに祭りが重なっているため仕方ない。タンボチェから下に降りたところにロッジがあるので、そこから通おうかと思っていたら、運よくあるロッジが外にテントを設置してくれたので、何とか寝る場所だけは確保できた。きっと寒いだろうな…。

さて、メインの仮面舞踊祭の前日、タンボチェに入ったのだが、一連の行事は今日から始まるらしい。午後に寺院では最高位の大僧正が寺院から外に出てきて、裏庭で読経をするという。その姿を一目見て恩恵にあずかろうというシェルパ族の人々が遠方からも集まってくる。

午前中にタンボチェに着いたので、寺院内を見学していたら、まだ外国人観光客が少なかったためか、台所まかないの方が招いてくれて、食堂で昼食をごちそうになった。今までいくつかの寺院でご馳走になってきたが、どの寺院も「ダルバート」だった。

さて、午後1時過ぎになると、寺院正面の準備が進み、やがて楽器を奏でながら僧侶たちが列を作って出てきた。この寺院は32人のお坊さんがいるということで、行列はそれなりに長い。最後に高貴な傘が見えたので、それが大僧正のお出ましだろうと思っていたら、なぜか大僧正の前に変な爺さんの仮面を一人だけかぶった僧侶が歩ている。こいつは一体何なんだ?

裏庭に隊列が到着し、読経が始まる。といっても始まるまでは30分以上、お茶やお菓子が僧侶たちに配られたりして、外国人から見るとダラダラと時間が過ぎていくといった感じ。フラフラ入ってきた犬が読経をする僧侶の横で昼寝をし出した。読経が心地いいのか、それとも一番安全な場所がここだと知っているのか、ものすごく無防備なかっこうで寝ている。

1時間ほど読経が進むと、地元の方々が大僧正の前に並び始めた。シェルパ族の正装をした人々が供物をささげ前へ進んでいく。なんでも幸運と長寿を願ってもらうのだとか…。地元の方が終わった後は外国人も列に並んで、2時間ほどで今日は終了。

次の日は仮面舞踊当日。正面には英語で概略が案内されているが、それを見ただけでは全く分からない。開場は8時、外国人は入場料1000Rs(1000円)を払う。

寺院の中庭はそれほど広くなく、地元の人も入るとすぐにいっぱいになってしまう。ネパールに限らないが、開場されてもすぐには始まらない。結局始まったのは2時間後。

外の英語の説明では全部で仮面舞踊は13種類あるらしい。初めは仮面をかぶっていない踊りだったが、その後はかわいらしい仮面が出てきたと思ったら、次には三つ目の恐ろしい表情の仮面、骸骨などいろいろ出てきてけっこう楽しめる。一つ一つはだいたい20分~30分ほどの時間で変わっていく。

6番目に出てきたのが、昨日大僧正の前を歩いていたおじいさんの仮面。この名前は「ミチェリン」という長老なのだそうだ。今までは仮面の踊りだったのが、このミチェリン爺さんは踊りではなく即興の喜劇。観客の物色しながら、いろいろちょっかいを出していく。結局、見物していた外国人のおばさんが捕まって、1時間以上付き合わされていた。けどこれって日本の狂言とそっくり!文化的にはつながっていると思う。

時々、お寺の方からお茶やお菓子がふるまわれたりして、地元の方々は飲んだり食べたりしながら見物している。休憩時間がないのでおなかがすくのだが、こういう気の利いたサービスはありがたい。

さてチベット狂言の後は再び仮面舞踊。怖そうな方々が8人も出てきた。昨日「ブオ~ン、ブオ~ン」と独特の低音を鳴り響かせていた巨大なホルンは今日も休む間もなく演奏を続けている。しかしこの仮面舞踊と楽器の演奏を32人の僧侶たちが休憩もなく続けていくのだからかなり疲れるだろう。踊りを覚えるだけでも大変そうだ。

いくつかの仮面の踊りが続いたと思ったら、また変な2人が出てきて、2回目のチベット狂言が始まった。前と同じように観客の間を回りながら愛想を振りまき、外国人女性を捕まえていろいろなことをさせていく。1回目の狂言と同様、この爺さん仮面は白人の背の高い女性が好みのようだ(笑)。捕まった女性たちはこれまた喜劇役者のように面白く反応してくれるので、見ている方も面白い。

この爺さん、名前を「トグデン」というらしい。しぐさが非常に面白いのだが、それにしてもこの狂言がひじょーに長い。午後2時過ぎから始まったのだが、4時を過ぎても終わる気配がなく延々と続いていく。こちらは言葉が全く分からないので、何が面白いのかもさっぱりわからない。さすがに飽きてきて、途中抜け出しておやつを食べに外に出た。しかしお店でその話をしたら、実はその長時間の狂言が実はマニ・リンドゥのメインで、面白おかしく狂言をやっている世に見えて、実は壮大な物語を語っているのだとか。しかもすばらしいクライマックスで終わるのだという。そう聞いてはそれを見逃してはいけないと慌てて寺院に戻る。

寺院に戻ると、確かに前の喜劇のような流れとはちょっと違っていて、コミカルな動きがなくなっていた。そしてこの狂言がはじまってから3時間、そのクライマックス(らしい)場面がやってきた。それは上着を脱ぎだして刀を腹に突き出すという、まるで日本の切腹のようなしぐさをした時だった。周りで見ていた地元の人々から紙幣が一斉に投げられた。何事が起ったのかよくわからなかったが、お金を投げた人たちはそのまま寺院から出て行って帰っていく。どうやらこれが感動的なクライマックスのようだ。実際には切腹ではないようだが、どちらにしても最後はよくわからないで終わってしまった。

地元の人が帰ってしまったので、これで終わったのかと思ったら、また仮面の踊りが始まった。地元の人にとっては、さっきのお金を投げ入れるクライマックスで終わりのようだが、まだ全部は終わっていないようだ。残っているのは事情がよくわからない外国人のみ(笑)。結局その後も2時間ほど続き、夜8時ごろ、やっと終わった。なかなか長大な仮面舞踊だった。

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です