5月25日、今年の春のエベレスト登頂シーズンが終了した。ネパール政府がエベレストへの登頂期間を決めているという。これから夏の雨季になるが、標高が高いところは雨ではなく雪になるため、今は黒く見えるエベレストも夏に雪に覆われて真っ白くなる。
エベレスト山頂付近の登山者の渋滞
(ネパールの英字紙「カトマンズポスト」ウェブサイトから)
ところで23日、ネパールの英字紙「カトマンズポスト」に衝撃的な写真が掲載された。エベレストの登頂を目指す登山者たちが山頂付近に長蛇の列となり、渋滞を引き起こしている写真だ。日本の富士山でも毎夏、登山者が殺到して渋滞するが、ここは世界最高峰、地上の酸素の3分の1しかない場所で、これだけの登山者が殺到していることに驚く。
僕もクンデ村で今年の3月、4月の天候の悪さに辟易していたが、エベレストを目指す登山者たちもエベレストベースキャンプで天候の回復を待っていた。5月に入り、だんだん天候がよくなってきたが、途中、インド東部をハリケーンが通過して被害が出たりしていた。やっとシーズン終了間際の22日、好天に恵まれたため、このように山頂を目指す登山者が殺到し、大渋滞を引き起こしたらしい。22日一日だけで、200人以上がエベレストに登頂したという。
この写真を見ると、登る人、下山する人が狭い稜線で行き来している。こんな渋滞で滑落などしないのだろうかと思ったが、やはり3人が死亡したという。その原因が渋滞で長い時間、高度8000㍍以上にいたため体力を消耗し動けなくなったという。前々から、山頂を目指す渋滞の危険性は問題視されていたが、また同じようなことが起こってしまった。1996年、日本の女性登山家難波康子さんなどがエベレスト登頂後に遭難したときも、山頂を目指す登山者でルートが渋滞していたため、その後の天候急変に登山者が巻き込まれて大量遭難事故となってしまった。もしこの状態で天候が急変したりでもしたら、どれだけの犠牲者が出るのだろうか?考えただけでも恐ろしい。
僕は登山家でもないので、今後も間違ってもエベレストに登ってみたいなどとは思わないと思う。ただ今回のトレッキングでも経験したが、ゴラクシェプやローチェ、ゴーキョなどではロッジの数が足らないため、部屋が見つからないことがある。今後世界中からやってくるトレッカーの数は増加するだろうが、もうエベレスト街道は満杯状態になっている。ネパール政府はどうするのだろうか?