ロイコーが思いのほか居心地がよかったため、3日もいてしまったが、さすがに今日は次の目的地である首都ネーピードーに移動することにした。地図を見るとカヤー州を南下し直接ネーピードーよりももっと南に出られる道があったが、地元の人はみんな「山賊が出る」「地元の人でも通らない」などの忠告を受けたので、ここはいったん途中まで戻ってネーピードーに出る山越えの道を進むことにした。
早朝の托鉢
ロイコーを出発する前に市内を見学しておきたいと思い早朝から出かける。
市内には僧院がいくつもあるらしく、托鉢をする僧侶の列があちらこちらで見かける。
タングエパヤー
行きたかったのは、2日前の美人パレードで見たタングエパヤー。ロイコーのみならず、遠くから巡礼の人が訪れるという寺院だ。真下に建つと、険しい岩山全体がお寺となっている。
階段を上り、寺院の頂上へ。山頂からは360度ぐるりとロイコーの街並みが見下ろせる。高い建物はなく、木々の中から家々の屋根が見える美しい街だ。2本の黄金の仏塔の間を見ると、通りを托鉢する僧侶たちの列が動いている。
早朝の参拝を終え、朝食。近くの屋台が集合している小さな市場でシャンカオスエを食べる。この店の隣では、また違う料理が出されていたので注文すると、それは豆腐を揚げたものだった。朝食というよりスナックといった感じ。
この屋台群は家ではなく、簡素な小屋なのだが、その屋根の片隅に神棚のようなものがあった。日本の神棚とはだいぶ違うが、仏さまや寺院の写真が飾ってある。神棚の文化は同じなんだと気が付く。
キング大聖堂
ロイコーにはキリスト教徒も多く、教会も結構ある。その中で最大のこの教会はかなり立派だ。
中で礼拝が行われていたのでのぞいてみる。同じ服装だったので、何かの団体の集団礼拝なのだろう。
熱心にお祈りをしている母親の横で、小さな子供がお菓子を食べている。なんかほほえましい。
ロイコーからネーピードーへの山越え
ロイコー市内を見学してしまい、出発が少し遅れてしまったが、午前11時、ネーピードーに向け走り始める。ロイコーに来た道を戻りながら北上し、途中で奥インレー湖の西岸を進む。天気は快晴、黄色い花が青空に映える。
ロイコーから90キロでピンロンという小さな町に着く。ここでネーピードーに通じる山越えの道に入るのだが、初め気が付かず通り過ぎてしまった。ここが分岐点なのだが、とても首都に続く道には見えなかった。
分岐点を過ぎてすぐに左手に、上に仏塔が立っている奇岩が見えてきた。この垂直の岸壁の上にどうやって仏塔を作ったのだろうか。すごいの一言!
地図で見ると、山越えの道はそれほど難しい道とは思わなかったが、実際に走ってみると車1台がやっと走れるほどの幅でカーブの連続。しかも日本の道よりもかなりの急こう配でスピードが出ない。意外に山は深く、延々と続く。
謎の湖出現
進んでいくと、遠くに大きな湖が見えてきた。近くに送電線があるので水力発電所のダム湖だろう。この湖まで急坂を下っていく。不思議なことに、ツーリングンに使っている3種類の地図にはこのダム湖が書かれていない。ミャンマーでは最大都市ヤンゴンを始め各地で停電が頻発しているが、首都ネーピードーだけは絶対に停電が起きないと言われている。これはその電力を賄っている隠れ電源…だったりして?
午後3時、ダム湖に着いてから、今度は反対側の山をひたすら登っていく。かなり標高を上がったところに湖を眺められる場所があった。今度は反対側から見たダム湖は、なんか日本の箱根と芦ノ湖の風景にそっくり。
やっとネーピードーに到着
予想以上に山越えに時間がかかってしまったが、午後5時、やっとネーピードーに通じる国道1号線に合流した。合流点はこんな感じで、簡素なモニュメントがあるくらい。
すでに日は傾き始めていたが、何とか明るいうちにネーピードーにたどり着けそうだと安心した。しかし30キロ走っても街らしいところが現れない。すでに真っ暗。ちょっと不安になりながらもひたすら走る。1時間ほど走っただろうか、やがて道の両側にホテルが見えてきたが、どこも明かりがついていなくて営業していない模様。ただ街は確実にありそうだ。さらに1時間、やっと建物が出てきて、両側に営業しているホテルが出てきた。
午後7時過ぎ、とにかく疲れたので目についたホテルにチェックイン。目の前にショッピングセンターがあったので、そこで夕食。ミャンマー料理のほかに何か食べたかったので、焼き魚を注文。なんと3匹も出てきたが、塩味の焼いた魚はシンプルな味でおいしかった。