ミャンマーツーリング。シュエボーから山越えして西にあるカレイワを目指す。シュエボーで聞くと、カレイワに行くにはいったん南下してモンユワ経由で行くそうだが、かなり大回り。地図を見ていると、シュエボーから北西に山越えの道がある。地図でもそれなりの太さで道が書かれているので、そのルートのほうが断然近道だ。しかしその道がとんでもない道だった…。
田植えの季節
シュエボーからはまず大きな川に沿って北に進む。道は土手の未舗装。
この地域は、灌漑用の水路が整備されており、乾季で水がない今でも田植えの季節を迎えている。田んぼでは水が入り、牛たちが田耕をしている。
と思ったら、ほかの田んぼでは田植えをやっていた。バイクを止めてカメラを向けると、女の子たちは元気よくポーズをとってくれた。
牛車の得度式
シュエボーから20キロ北上し、そこから西に向かう道に折れる。やがてシンプルな時計塔がある街に入った。
この街で、またまた得度式の行列を見かけた。しかし今まで見てきた得度式と違う点は、牛車の乗り物が用意されていたこと。出家した男の子たちは、ほかの場所で見たように椅子に座り担がれており、牛車は女の子たちようのようだ。
牛たちは今日の式のためにきれいに飾られていた。ただミャンマーでは牛や馬だけでなく、場所によっては象を使うところもあるのだとか。
最悪の山道
シュエボーから66キロ走ったところにターゼという街がある。ここを通過して西に進んでいくと、やがて山道に入っていく。紅葉なのか、枯れているのか、よくわからないが、葉が赤くなっている林の中を走る。今まで走ってきた山には、このように紅葉しているような広葉樹の林はあまり見かけなかった。
しばらく走ると、林が燃えている。ミャンマーでは時々、野焼きをするために火を放つ。バイクを止めて写真を撮っていたら、火がどんどん燃えさかってきて、ついに道の方まで炎が噴き出してきてしまった。慌ててバイクを移動させる。
山道に入ってからは、ほとんどが未舗装。ところどころで舗装工事も進んでいるが、全部が舗装道路になるにはあと数年かかるだろう。
しかもなぜか細かい砂が深く積もっているため、時々バイクの後輪がズルっと横滑りしてしまい、非常に走りづらく危険だ。地図上では、それなりの太さの道だったので、少なくとも舗装ぐらいはされているのかと思ったが、大外れ。ミャンマーの地図を信用してはいけないと思い知らされた。
山の中でも大きな学校がある村を通過した。こんな山奥でこれだけの規模の学校があるのは、それだけ子供の数が多いということだろう。少子化の日本から見ればうらやましい限りだ。
午後3時、シュエボーから約200キロ地点で、眼下に大きな川が見えてきた。この川はカレイワを流れているチンドゥイン川だ。山に入ってから5時間近く、悪路を奮闘しながら走ってきたが、自分の現在地もよくわからず、本当に日のあるうちに山越えができるのだろうかと少々不安に思っていたところだったので、正直言ってほっとした。
カレイワに到着
山から下に降りていくと、チンドゥイン川に大きな橋が架かっていた。ただ、まだ建設中だったので、フェリーに乗らないといけないのかなと思っていたら、作業員がバイクだったら通過できるので行け、と合図してくれた。すでに橋は架かっていて、今は最後の仕上げをしているようだ。日本では、建設中の橋を通過できるなんて絶対不可能だ。このミャンマーの緩いところが好きだ。
橋の上から見ると、川には車を乗せるフェリーが何隻も行き来している。このフェリーも、橋が完成すればいらなくなって姿を消してしまうだろう。フェリー好きとしては、まだ残っているときに来れてよかった…。
ところで、橋の上でゆっくり川を見ていたら、ぽつぽつと雨が降ってきた。マンダレーで雨に降られてから、どうも天気が安定しない。本来なら、乾季の今は雨は降らないはずなのだが、今年はベンガル湾にモンスーンが発生していて、そこからミャンマーまで雨雲が流れてきているらしい。あわててカレイワの街まで走り、とにかく宿を見つける。この街にはホテルはなく、一軒だけゲストハウスがあるだけだ。選択肢がないので、その狭くて暗い部屋に飛び込む。
幸い、雨は本降りにならなかったので、歩いてカレイワの街に出る。宿の近くには「インドーミャンマー友好道路」の碑があった。ここはインド国境に近く、カレイワから国境までは友好道路としてインドが道を整備している。ぜひ走ってインド国境まで行ってみたい。
子供の被っている傘がかわいらしい。一緒に乗っている犬もかわいい。
通りに面した食堂のご主人と目が合ったのでここで夕食。ミャンマー料理以外の選択肢はないので、ガラスケースのミャンマーカレーから注文。