ミャンマーツーリング。ナガ族の正月行事が行われるラヘーでの3日目。昼間は何も動きがなく、会場周辺をぶらぶらする。明日の本番にはティンチョー大統領も来るという情報があり、夕方からいくつかのグループが踊りのリハーサルを行った。
朝市
早朝、宿を出て、周辺を散歩する。昨夜もとにかく寒くて、寒さで目が覚める。ベッドなどはなく、板敷きの床の上にござを敷いて毛布一枚が支給されるのみ。あまりに寒いので毛布をもう一枚ほしいと要望したが、もともと民家なので余分な毛布などなかった。
ラヘーの村は急な山の斜面に家々が立っている。しかし広場周辺のわずかな平地には、コンクリート作りの建物も数棟あるのが逆に驚きだ。
広場周辺には道の両脇に早朝から市場が開かれている。
市場では、新鮮な野菜が売られている。中には納豆のように豆もある。正月行事で集まってきた人たちが、地元から野菜などを持ってきて売っているのだろう。
市場で見かけた老婆の顔には、入れ墨がされていた。昨日、博物館で見た人も入れ墨があった。ミャンマーでは他地域だが女性の顔に入れ墨をする風習を持つ民族がいるが、ここでもその風習が残されているみたいだ。
市場にいた男性が腰に小さな頭蓋骨を付けていた。昨日見かけた人の顔の飾りと似たようなもので、てっきり偽物かと思ったのだが、よく見るとどう見てもこれは本物の頭蓋骨。顔の大きさからすると、猿の頭蓋骨だろう。これも人狩り族の名残を感じさせる。
宿の人々
市場からいったん朝食を食べに宿に戻る。村には昨日までは見かけなかったかっこいい自動車が駐車していた。ナンバーはヤンゴンなので、遠くからここまで走ってきたのだろうが、こんな山奥でちょっと場違い。
宿に戻ると、ちょうどランチの仕込みを従業員がやっていた。といってもほとんどが身内だと思うが…。台所などはなく、地面の焚火がコンロ代わり。寒くて暖房代わりにもなる。
宿の若奥さんには生まれたばかりの赤ちゃんがいるが、何となく壇蜜さんに似ている。ナガ族は中国人の血が入っていると思うが、美人が多い。
山岳民族の家は先進国の家と全く違う。この宿は写真の左が台所、右上がトイレ、右下がシャワー。シャワーはあまりに寒くて一回も使わなかったが…。
ラヘーの食事はほとんどこの宿の食堂で食べている。今日も朝食は昨日と同じく炒飯。夕食はマイタンのカレーと揚げ魚といつもと全く変わり映えしない。
ところで宿の隣部屋に写真の女性が泊っている。実はこの女性、正月行事のステージにヤンゴンから呼ばれた歌手だそうだ。ナガ族出身なので地元への凱旋ツアーも兼ねているのだろう。しかし主催者からいつステージが開かれるのか、連絡がないと宿でごろごろしている。ミャンマーでは、コンサートなども開始時間が必ず遅れるという”ミャンマータイム”というものがあるが、待っている方もイライラすることもなくいたっておおらかだ。
踊りのリハーサル
広場では午前中からバレーボールとチンロンの試合が続けられている。正月行事の一環でもあるようだが、別にナガ族でなくてもやっているのであまり興味がわかない。ただ深い山の中の村で、正月のこの大会を目指して練習をしていたのだろう。やっている方も、見ている方も熱気がこもっている。
午後5時、広場にナガ族の一団が集まってきた。明日の本番を控え、踊りのリハーサルをするという。
ナガ族と一言で言っても、実は20部族以上にも分かれていて、それぞれ身に着けている装飾品もだいぶ違う。この格好で昔は部族間で戦闘を行い、相手の首を狩っていたと思うと、勇壮な民族として名が知れたのもうなずける。
いくつかの部族を見ていて気になったことがある。それは着ている衣服がTシャツとサッカーパンツだということだ。もともとナガ族は何も衣服を着ていなかったのだが、さすがに時代も変わり、最近の若者は何もつけないことに抵抗があるということで、この格好になったという。しかし我々観光客からすると、昔ながらの格好を見たいので、この中途半端な衣服に少々がっかり。
暗くなりかけたところで、今度は女性陣が出てきた。人狩り族というと獰猛な男たちというイメージだが、女性の衣装もなかなかファッショナブルで、現代ファッションといっても通用するレベルだ。前にカレン族の衣装を見たが、少数民族の衣装はかなり現代風にアレンジされていた。もしかするとナガ族もそうなのかもしれない。
あたりは完全に暗くなり、広場を照らすライトが点灯する。リハーサルに参加した部族は8つほどだが、本番の明日に到着する部族もあるということで、もっと増えるはず。どんな変わった部族と明日出会えるか、明日が楽しみになってきた。
踊りのリハーサルが終わって帰ろうとしていたところ、広場の片隅に人が集まって、何か柱のようなものを立てようとしている。これはナガ族の正月には欠かせないものらしい。日本でいえば門松みたいなものかな?