コーランが響くコータウン

ミャンマーツーリング。朝起きると、まさかの雨。しかも結構しっかり降っている。乾季のミャンマーでも海沿いではこんなに雨が降るんだ、という驚きと、こんな日はのんびりするしかないというあきらめのような気分で、コータウンで相変わらずぶらぶらすることに。

まさかの雨


ミャンマー コータウン 雨

今までもパラパラと雨が降ったことはあったが、今日は雷も轟いている。雨具は持っているが、乾季は雨は降らないと思っていたので、バイクの荷物にかける防水バッグなどはない。しかたなくペンギンホテルから、早く止まないかなと祈るしかない。雨は昼頃まで続いた。




ミャンマー コータウン タイ料理

雨が止んだのと、ちょうど昼頃だったので、港近くのタイ料理屋で昼食を取る。ペンギンホテルに長期滞在しているドイツ人はミャンマー料理が嫌いらしく、このタイ料理屋でいつも食事をしているらしい。確かにメニューは豊富でどれもおいしそう。筍のグリーンカレーもあったので注文。

モスクのお祈り


ミャンマー コータウン モスク

コータウンでは朝早くからコーランが街に流される。仏教寺院からお経がマイクで流されるのはどの町でもあることなのだが、ここではその両方が重なって流されているのがおもしろい。私はもう慣れているので何とも思わないのだが、同宿のドイツ人はこれがダメなようで「ミャンマーはうるさい」と辟易していたが…。


ミャンマー コータウン モスク


ミャンマー コータウン モスク

タイ料理屋の並びにモスクがあり、ちょうど昼のお祈りに信徒がやってくるということで、中を見学させてもらった。といっても偶像崇拝をしないイスラム教では、仏教寺院とは違ってモスクの中は何もない。子供たちも熱心に祈っていた。


ミャンマー コータウン 


ミャンマー コータウン 猫

モスクを出ると目の前は市場。あるお店の前では親子か、兄弟か、目がそっくりな猫が店番をしていた。観光客向けか、売られていたロンジーの図柄がなかなかいい。


ミャンマー コータウン モーターボート

やることないので、港のほうに歩いていく。早そうなモーターボートに白人が乗っている。こんなボートがミャンマーにあったんだ。


ミャンマー コータウン イスラム教


ミャンマー コータウン イスラム教

港のイミグレーションの前にいると、タイ側からやってきたイスラム教徒のグループが入国してきた。みんな髪を隠すヒジャブを被っている。もともとマレー半島はイスラム教徒が多い地域だから、コータウンでもイスラム教が広まっているのだろう。


ミャンマー コータウン 

コータウンの街中にはモスクがいくつかある。モスクの前から見ると、急な坂の上に仏教寺院があり、この街では表面的には仏教徒とムスリムが仲良く共存しているように見える。しかし最近、バングラディシュと国境を接するラカイン州では、ロヒンギャ問題というムスリムと仏教との対立が問題となっている。この問題は昔からあったのだが、最近ミャンマー軍がイスラム教徒のロヒンギャ族を再び迫害していることを国際社会が非難している。この問題からほかの地域で共存している両教徒の溝が深くならなければいいのだが…。

ムスリム村に迷い込む


ミャンマー コータウン 学校

午後2時、港周りの散策からバイクに乗り、郊外に出発。途中、学校で運動会の練習をやっていたので見学していたら、周囲にいたミャンマー人が学校関係者に通報。先生がやってきて、何しているんだとしつこく聞く。こちらはただ見学しているだけなのだが、軍事政権下で密告制度があったミャンマーでは、こうして見知らぬ人を監視するようないやな習慣が残っている。


ミャンマー コータウン 

この学校の近くに10マイルビーチという看板があったので、その看板に従ってわき道に入ってみた。道はところどころ舗装されていたが、30分走ってもその10マイルビーチにはたどり着かない。時々眼下に海が見えるので、海沿いの道だというのは間違いないようだが、海からはかなり高いところを走っているようだ。


この道沿いにところどころ村がある。ただその村を見ると、すべてがイスラム教徒の村のようで、見かける女性たちはすべてヒジャブを被っている。

このすれ違ったバイクだが、子供を立たせて走っている。ミャンマーではよくこうした乗り方をしているのを見かけるが、ちょっとしたことでバイクが傾いたときに非常に危ないと思うのだが。


ミャンマー コータウン イスラム教徒


わき道に入ってから1時間走った。すでに10マイルビーチは通り過ぎているだろうとは思っていたが、戻るのもめんどくさいので、この道をこのまま進めば国道に出ると思って走り続けていた。しかしこれが大きな間違いだった。地元の人に聞くと、言葉は通じなかったがジェスチャーで、どうやらこの道はどんどん国道から離れていっているようだった。すでに午後4時近く、空もどんよりと曇っていて、なんだか心細くなってきた。ミャンマー人は概して親切で、困っていると声をかけてきてくれることが多い。しかしこのムスリム村はそういう雰囲気ではなく、迷い込んだ外国人を遠くから鋭い視線で見ているといった感じだった。しかも相変わらずヒジャブ姿ばかりで、暗くなっていく中でちょっと不気味に感じ始めてきた。


ミャンマー コータウン イスラム教徒

そこで来た道を戻り始めたのだが、運が悪いことに雨が本降りになってきた。仕方なく誰もいない民家の軒先に雨宿りをさせてもらった。雨は30分待っても止まない。あたりはどんどん暗くなっていく。このままいたら暗くなってしまい、さすがに防犯上危険なので、雨の中、再び走り出した。それにしても今日はやけにイスラム教と関わったな。


ミャンマー コータウン


ミャンマー コータウン

コータウンの街まで戻ってきた時にはすでに日は沈んでいた。雨は途中で止んでくれたが、Tシャツが濡れて結構寒い。ただ海では子供たちが丸太を浮かべて遊んでいる。子供は元気だ。


ミャンマー コータウン

夕食は昼間と同じタイ料理屋にまた行ってしまった。コータウンにはあまり気の利いた食堂がないようで、食事の選択肢がない。タイ料理が食べられるのはいいが、それでもだんだん飽きてきた。この街に来てもうすぐ1週間。あまりだらだらといたらここで沈没しそうなので、そろそろこの国境の風景ともおさらばしないといけないな…。

投稿者: asiansanpo

元読売新聞東京本社写真部。2016年3月、早期退職し、アウンサンスーチーの新政権が誕生したミャンマーに移り住み、1年半にわたり全土を回りながらミャンマーの「民主化元年」を撮影。2018年9月からは、エベレストのふもと、標高4000㍍の村で変わりゆくシェルパ族とともに9か月間生活した。日本では過疎地を拠点とし、衰退していく地方の実態を体験している。

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