妙蔵寺パゴダ再生プロジェクト
静岡県伊豆市八木沢というところに妙蔵寺というお寺があり、境内にはミャンマー(旧ビルマ)式パゴダ(仏塔)がある。八木沢というところは西伊豆にある過疎地なのだが、なぜこんなところにミャンマーという異国の仏塔があるかといえば、太平洋戦争の時にビルマ戦線に従軍し、インパール作戦で生き残った妙蔵寺第35世、佐治堯英(ぎょうえい)上人が、戦死した日本兵の慰霊のために建立したからだ。
堯英上人の活動は詳しく別のページで紹介しているので、下記のリンクからぜひ見てほしいのだが、堯英上人は平成7(1995)年7月16日、75歳で逝去した。その後時代も変わり、ミャンマーパゴダもそのままになってしまっていた。
沼津市出身の写真家・川口敏彦は2016年3月から1年半、ミャンマーで過ごし、オートバイで全域を回って帰国したのだが、この八木沢に移住したのは、単に海越しの富士山が見える景色が気に入ったからで、この過疎地でミャンマーでつながったのは偶然に過ぎない。帰国後、妙蔵寺の本堂でミャンマー写真展を開催している。
そのミャンマーで2021年2月1日、国軍がクーデターを起こした。アウンサンスーチーら民主派政権の幹部を逮捕、監禁し、国内は内戦状態に陥っている。川口もクーデター後、各地でミャンマー写真展を開催し、支援活動を行ってきたが、クーデターから3年を迎えるにあたり、妙蔵寺のパゴダを整理し、ミャンマーについて考える場として活用しようという活動を始めた。
堯英上人の孫にあたる妙心師は、子供のころから広島原爆の語り部として平和活動を行ってきており、堯英上人の精神が受け継がれている。太平洋戦争、そして現代のミャンマーの現状が奇妙で偶然の縁で八木沢でつながり、その象徴として妙蔵寺パゴダが再生される。
平和とはなにか…、このパゴダに込められた思いをもう一度、今の時代で考えてみたい。
新聞各紙もプロジェクトについて掲載してくれました
東京新聞