ミャンマーゆかりの妙蔵寺

写真展の会場となっている妙蔵寺は、静岡県伊豆市八木沢というところにあります。国道136号線で土肥の温泉街から南に車で10分ほど走ると、ホームセンター「コメリ」があり、この前に「妙蔵寺パゴダ」という標識があります。ここから車一台がやっと走れるほどの狭い道を山側に入っていくと、山の懐にお寺があります。実際に来てみるとかなり田舎で驚くと思います。


妙蔵寺パゴダ

ところで妙蔵寺がなぜ、ミャンマーゆかりの寺かというと、境内にパゴダ(ミャンマー様式の仏塔)が立っているからです。境内は約280年ほど前に建てられた本堂や祈祷所など日本のお寺なのですが、この仏塔だけが異国を思わせる、白く変わった形をしていて目立っています。入り口には「世界平和パゴダ」という表示がミャンマー語の文字とともに書かれています。

このパゴダを建立したのが、先々代の佐治堯英(さじ ぎょうえい)上人(1920年~1995年)です。上人は太平洋戦争中にビルマ(現ミャンマー)のインパール作戦に参加し、多くの戦友が現地で亡くなるのを目にしながら日本に復員しました。その後、妙蔵寺住職と土肥中学校の教員を兼務しながら、ビルマで亡くなった戦友の慰霊法要を行います。また世界平和パゴダを建立するため、東海道線の各駅頭や各地の農村などを托鉢しながら5年をかけて独自に資金集めをし、1970年(昭和45年)やっとのことでこのパゴダを建立落慶しました。落慶式には当時のビルマ大使やビルマの大僧正などが参列し、盛大に式典が行われました。


佐治堯英

投稿者: asiansanpo

元読売新聞東京本社写真部。2016年3月、早期退職し、アウンサンスーチーの新政権が誕生したミャンマーに移り住み、1年半にわたり全土を回りながらミャンマーの「民主化元年」を撮影。2018年9月からは、エベレストのふもと、標高4000㍍の村で変わりゆくシェルパ族とともに9か月間生活した。日本では過疎地を拠点とし、衰退していく地方の実態を体験している。

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