ミャンマーツーリング。早朝、マグェの古寺に行って参拝した後、仏塔が林立する風景で有名なバガンに向かう。バガンにはすでに行ったことがあるが、北上しながら入ったことは初めて。今までとは違う荒野のようなところを走りながらのツーリングとなった。
マグェのMyathalunパヤー
早朝6時半、ホテルを出て正面に流れるエーヤワディー川のほとりに立つ。まだ川はうす暗く、橋の明かりだけが水面を照らしている。ものすごく寒い。
やっと明るくなってきたころ、輸送船とは違う中型の船が出航していく。どこかで見たことがあるが、数日かけてエーヤワディー川を進むクルーズ船だろう。マグェで夜停泊していたのだろうが、かなり朝早い出発だ。
川沿いにマグェで一番大きな寺院があるということで行ってみた。手前に入り口があったのでバイクを置き入っていくと、かなり長い参道が上り坂で続いている。登りきると大きな仏塔が現れるが、そのすぐ手前に駐車場があった。そこまでバイクで上がってこれたようだ。
境内では、まだ夜が明けたばかりなのに熱心にお祈りをしている人がいる。しかしみんな寒そうなかっこうをしている。
境内で様子をしばらく見ていると、一匹の猫があたりを歩いている。時々、参拝客にすり寄っておとなしくしているところが、ものすごくかわいらしい。特に決まった人のところではないため、境内に住んでいる猫なのだろうが、ほほえましい光景だ。
寺院はエーヤワディー川に面してかなり高いところに立っている。ちょうど大地を覆っていた霧が晴れてきたところで、幻想的な光景が広がっている。
下を見ると、川岸では多くの若者たちがほうきを持って掃除をしている。毎日しているのか、今朝だけ何かの奉仕なのかわからないが、若者たちだけでこのような行為をするところがミャンマーの仏教の教えの深いところ。
街ではすでに人々は活動している。頭に重そうな荷物を持って歩いている尼僧。サッカーをしている少女などひとさまざま。
荒野の道
ホテルに帰って朝食をとった後、午前10時にバガンに向けて出発。バガンまでは130キロと距離は近くなので、ちょっと遅い出発となった。
ホテルからそう離れていないところに公園があり、そこにアウンサン将軍像と独立記念塔が立っている。マグェの将軍像はかなり大きく立派。将軍像はただ立っている姿のものもあれば、このように騎馬姿もあり、国で統一されたものではない。
マグェを出てそのまま国道2号線を北上していくと、やがて乾燥した大地が広がる荒野のような風景となってきた。川も水が全く流れていない。まるで砂漠の中を走っているようだ。
マグェから30キロ走ったところで、途中の街を通らない近道があったのでそちらに入って進む。新しく舗装された道のようで、ミャンマーには珍しく、道の真ん中に白線が引かれている。おそらくマンダレーとマグェを結ぶ幹線道路の途中にバイパスを作ったのだろう。
遠くに自転車2台が走っているのが見えたので、ミャンマー人も自転車ツーリングを楽しんでいるのかと思って追い抜いてみると、なんと白人。聞いてみると、アメリカ人の親子だそうだ。マレー半島の南部でもフランス人夫婦が自転車ツーリングをしていたが、この暑い中、なかなかタフである。
このバイパスは走ってみると以外に短く、15キロほどしかなかった。なかなか走りやすく、しかも周りは荒野なので、もっと延長すればいいと思うのだが、一つの街を回避するだけの道のようだ。
バイパスを抜けると村が出てきて人も歩いている。沿道には生活感が出てきた。おそらく姉妹だろう、お姉さんが妹の肩を抱いて歩いているが、それと同じように愛情をこめて犬も抱いて歩いているのがなかなかいい。
古都バガン
午後2時半、バガンに到着。南からバガンに入っていくと、ニューバガンの街を通り過ぎるとそのまま遺跡の中に突入する。バガンにはすでに何回か来ているので、一つ一つの遺跡見学はせず、バイクで遺跡を縫って走る遺跡ツーリングを楽しむ。
2016年に起こった地震でバガンにあるいくつかの遺跡が壊れたため、いまだ修復作業中。日本の感覚でいえば、それほど強い揺れではないのだが、以前の地震後に行われた修復がずさんであったため、その弱い部分が崩壊したのだという。完全に修復するにはもう少し時間がかかりそうだ。
遺跡内にはところどころにツツジのようなきれいな花が咲いている。その花と遺跡の仏塔をひっかけて写真を撮っていると、放牧をしている牛たちの群れがやってきた。花の前を通り過ぎる時、その中から一頭の牛が鼻に近寄っていき、まるで花のにおいを嗅ぐようなしぐさを見せた。その表情が何ともいえずよくて、牛も花のにおいが分かるのではと感心してしまった。
やがて日が沈んでいく。遺跡がシルエットになり、太陽の最後の輝きが仏塔の間から差し込んでくる。何とも言えない至福の時。
今晩の宿だが、季節がいいので宿が結構満室のようだ。市場の近くにGrand Empire Hotelというたいそうな名前のホテルがあったのでそこに決める。しかし部屋は狭くて黴臭くて最低。安かろう悪かろうの典型的な例だった。
ホテルが最低だったので、夕食はおいしいものをと思い、イタリアンレストランへ。バガンはいろいろな国から観光客が訪れるので、ミャンマーの中ではおいしいイタリアンが食べられる、数少ない街だ。