エベレスト街道
世界最高峰エベレストを見るためのトレッキングルートのことを日本人は「エベレスト街道」と極めて日本的な愛称で呼んでいる。
この街道にはいくつかの村がある。首都カトマンズからプロペラ機で着陸する村がルクラ(2860㍍)で、ここから10日~2週間ほどのトレッキングが始まる。
エベレスト街道は整備され歩きやすい。高山病さえ克服できれば快適なトレッキングが楽しめる。時折、馬やヤクが荷物を運ぶ列とすれ違う。
ドゥードゥコシという川沿いに進んでいくとジョルサレ(2804㍍)の家々が川沿いに立ち並ぶ。さらに進むと、足がすくむほどのつり橋を渡る。昔は下に見えるつり橋を渡っていた。
急坂を登りきると、街道最大の村ナムチェバザール(3440㍍)に着く。急斜面にへばりつくように家々が立っているが、ここには銀行のATMもある。
ナムチェバザールからさらに急坂を登ると、街道最大のタンボチェ寺院(3867㍍)に着く。この寺では「マニ・リンドゥ」というチベット仏教の仮面舞踏劇」が行われる。
高度順化のため2日間ほど滞在するのがディンボチェ(4350㍍)。ここには喫茶店もあり、コーヒーとケーキを楽しみながらゆっくりと過ごすことができる。
ディンボチェを出発すると、そこはもう前後左右ヒマラヤの氷河を抱いた山々のパノラマとなる。高山病の苦しさも忘れてしまうほどの絶景だ。
小さなロッヂが集まるロブチェ(4930㍍)を超えると、流れていた川が氷河となる。エベレストから流れるクーンブ氷河だが、地球温暖化で急速に溶けている。
最後のロッヂがあるゴラクシェプ(5150㍍)をさらに上ると、最終地点のエベレスト・ベースキャンプ(5364㍍)に到着。ここから先は登山家の世界だ。
実はエベレスト・ベースキャンプからは懐に入り過ぎていてエベレストは見えない。そこでゴラクシェプから北西にあるカラ・パタール(5545㍍)に登る。ここがエベレスト街道最高地点だ。ここからは眼前にエベレストの頂上が現れ、イエローバンドと言われる地層もくっきり見える。この地層からは海の生物の化石も見つかっており、かつてエベレストが海底だったことを証明した。