ミャンマーツーリング。地図を見ていると、ミャンマーの南西端に位置するところに寺院がある。宿のスタッフに聞くと、海に突き出た寺院としてちょっと知られているという。ライダーは端っこを好むとされているが、それほど遠そうでもなさそうなので、行ってみることにしたのだが…。
パテインの朝食
ミャンマーでは普通宿で朝食を用意してくれるとこが多いが、このパテインのホテルはサービスがなかった。朝食を外に食べに行ったが、ホテルの2軒隣に朝からやっている食堂があり入る。テーブルには揚げパンやサムサなどが並んでいる。これがあれば朝食は満足。
モーディンパヤーへ
午前8時50分、モーディンパヤーに向け出発。パテインから大きな橋を渡って郊外に出る。パテインはエーヤワディー川のデルタ地帯にあるため、大小の川が枝分かれしている。
約30キロ進んだところで、モーディンパヤーへ行く道の分岐点がある。まっすぐ行くと、ビーチリゾートのグエサウンに着く。ここから道は丘陵地帯を上がったり下がったりしながら進む。モーディンパヤーで行き止まりの道なので、すれ違う車も少ない。
午後1時、150キロ走りモーディンパヤーに到着。実は地図で見てだいたい100キロほどだと思っていたのだが、実際に走ってみると道はカーブが多く、高低差もあり、予想以上に時間がかかってしまった。
モーディンパヤーは確かに海に突き出ていた。が、それ以上のものでもなく、それほど観光客が来るとも思われない。パテインからかなり遠いので、訪れる人も少なく、閑散としていた。
境内には立派な仏像が並ぶ。中には右足を下に崩した、ミャンマーではあまり見ないような仏さまもいた。
4人の女性が階段を上がってきた。みんな端っこを歩いているが、これには訳がある。ミャンマーの寺院では裸足にならなくてはならないが、コンクリートは直射日光に照らされ非常に高温になっている。裸足で歩くと足の裏が熱くてとても歩いてはいられない。そこで端っこの影を歩いて行くのだ。裸足になるのは風習としていいが、この暑い時には何とかならないものかな…。
寺院の周りには宿もいくつかあった。パテインのホテルスタッフに聞いたところ、モーディンパヤーには宿は全くないのでパテインに帰ってこなくてはならないと聞かされていたが、騙された。この宿の前に食堂があったので昼食。魚のカレーがおいしかった。
ツーリング初めてのパンク
午後2時過ぎ、遅くなってしまったがパテインに向け出発。行きは4時間ほどかかったので、順調に走ってもパテイン到着は暗くなっているはずだ。
ところが、こういう時に限って起こってほしくないことが起きてしまう。午後4時、パンクしてしまったのだ。実はミャンマーツーリングを始めてすでに3か月以上となるが、今までパンクしたことがなかった。ツーリングではパンクは当然想定していて、ベトナムなどほかの国を走っていると簡単にパンクする。しかしミャンマーではパンクをしないので、この国は釘を使わないのかと不思議に思っていたのだった。ただ、今日はパンクをしてほしくなかった。この幹線道路でもない夕方に、パンクで外国人が動けなくなるのは非常に危険だ。正直、ここで野宿も考えた。しかし運がいいことに、しばらくすると2人の男性が通りかかった。思わず呼び止めて、ジェスチャーでパンクしてしまったと伝えると、俺たちに付いてこいと先導してくれる。
タイヤが外れないように慎重にバイクを走らせること15分ぐらい。村とも言えないような家が数軒立っているところを曲がってさらに奥に進むと、バイク屋の看板があった。こんなところ、外国人ではとても探し出せない。しかしここでパンクが治るとは思わなかった。というのは私が乗っているバイクは125㏄のオフロードと、ミャンマーではあまり走っていないタイプのバイク。
とりあえずタイヤを見てもらうと、しっかりとした釘が刺さっていた。これではチューブを交換しないとだめだろう。さすがにこんな田舎に大きなタイヤサイズのチューブはないだろうとあきらめていたところ、バイク屋は「ちょっと待ってろ」と言って自分のバイクで出かけてしまった。しかも30分以上帰ってこない。
やっと帰ってきたと思ったら、手に新しいチューブを持っている。チューブをどこかに買いに行ってくれたようだが、いったいどこで手に入れたのだろうか?
とにかくこれでパンクが修理できる。ほとんどあきらめていたので奇跡とさえ思ってしまった。はじめに会った2人はバイク屋で修理が終わるまで付き合ってくれていた。
1時間ほどで無事、パンク修理が完了。助けてくれた2人にお礼を言うと、何事もなかったかのように行ってしまった。今までツーリングではいろいろな人に助けてもらってきたが、それは何か対価を求めてのものではなく、自然なものだった。ミャンマー人の親切さに感謝を込めて
合掌!
再び走り始めてから1時間。日が沈み暗くなった。まだパテインまで100キロほどはあり、真っ暗な中を走らなければならない。しかし一時は山中での野宿を考えたことを思えば、暗くなってもパテインまで帰ることができるのはラッキーだった。日が沈むと急に寒くなった。途中、今度はガス欠になったが、これも近くに村があったのでガソリンを給油できた。モーディンパヤーの旅は散々だったが、何とか午後9時前にホテルまでたどり着いた。