間近でエベレストの夕焼け、見れた!

クンデ村のプチ移住、ちょっとブログ更新が空いてしまっていたが、富士山よりも高い村で孤独死していたわけではない(笑)。4月20日を過ぎても毎日、雨が降るという悪天候で、さすがにうんざりしてきて、山を下りてカトマンズに戻ろうと決心をした。そして荷物をまとめ始めたら、いやがらせのように雨が降らなくなってきた。しかも寒かった気温が急に上がってきて、天候が変わったと体感でわかった。そこでこのまま山を下りるのはもったいないと思い始め、最後にエベレスト街道の最奥カラパタールまでトレッキングをしてエベレストを見てこようと出発した。途中の道中の様子はまた後でアップするとして、最高地点の標高5545㍍からのエベレストの様子を紹介する。


ネパール エベレスト 夕焼け カラパタール

早朝5時、ロッジがある標高5200メートルのゴラクシェプを出発。もう空は明るくなり始めているが、天気は快晴。カラパタール山頂に向かい30分も上がっていくと、もうエベレストが見えてくる。周りの山は雪が積もって白いが、エベレストは雪が飛んでしまい黒い山に見える。

午前6時半ごろ、エベレストの左から朝日が昇ってくる。その直前、エベレストの影が上空に向かってくっきりと浮かび上がる。


ネパール エベレスト 夕焼け カラパタール


ネパール エベレスト ライチョウ カラパタール

カラパタール山頂は狭くて、すぐ後ろは落ちたら確実に死にそうな崖だ。こんなところにトレッカーたちは順番に登って記念写真を撮っている。僕もせっかく来たのだからと順番を待って山頂に登ってみたが、岩は滑るし、もちろん周りに柵はない。過去にここから落ちて死んだ人はいなかったのだろうかと不思議に思ってしまう。高所恐怖症なのでゆっくり登っていったら、白人のおばあさんが下から「早く降りろ」と(言ってんだと思うが)、しきりに英語ではない言葉で僕に向かって叫んでいる。こんなおばあさんまでこんな危険なところに登ってくるのか…、恐ろしい。

やっとの思いで降りて、トレッカーが殺到する山頂からやや離れたところでゆっくりする。近くを昨年ゴーキョでも見かけたネパールのライチョウ?が警戒もせずに近寄ってくる。


ネパール エベレスト カラパタール

ところで不思議なことに、トレッカーたちは朝日を見終わった後、みんな山を下りていく。後でポーター君に聞いてみたら、普通はゴラクシェプに一泊しかしなくて、早朝ここに登った後は、そのまま下に降りていくのだそうだ。カラパタールから見るエベレストは午前中は逆光になるので写真はきれいに撮れない。せめて昼ぐらいまで待たないと逆光の中の写真になってしまうのだが、せっかくここまで登ってきたのだから、順光までここで待っていたいという人はいないのかな?


ネパール エベレスト カラパタール


ネパール エベレスト カラパタール 雪崩

午前11時ごろになると、逆光だったエベレストもきれいに写る光線になってくる。雲一つない青空の下、イエローバンドと言われる地層がよく見え。

午後0時43分、遠くでゴーという大きな音がしたので見ると、エベレストの前にある氷壁から大きな雪崩が落ちてきた。その下にはクーンブ氷河があり、その対岸にはテントがいっぱい並ぶエベレストベースキャンプがある。あれあれ、大丈夫かなと思ってみていると、雪崩本体は氷河で止まったが、雪煙はテントの上まで達していた。2015年のネパール大地震でもエベレストベースキャンプでは雪崩が起こり、複数の人が亡くなったが、やはり山は危険なところなんだと実感。


ネパール エベレスト カラパタール 

午後、ほとんどカラパタールには人がいなくなった。こんな静かなところでエベレストを見られるなんて最高!

今日はぜひともエベレストの夕焼けを見たいと思って、日が沈むまでいるつもり。ロッジで2個の弁当を作ってもらい、一つは登頂後の朝食として、2個目は昼食として食べてしまった。そうするともうやることがない。せっかくだから、エベレストを見ながら瞑想にふける。


ネパール エベレスト カラパタール


ネパール エベレスト カラパタール

午後3時を過ぎると、下の方からだんだん雲が上がってきた。このパターンはクンデ村でも同じだが、クンデ村ではだいたい昼過ぎに雲に包まれ天候が悪くなる。おそらくその雲がもっと上がってきて、ここまで到達するのがこの時間なのだろう。エベレストもだんだん雲に隠れてきた。残念だが、夕方まで晴れている確率は極めて少ないことは始めから分かっていたこと。


ネパール エベレスト カラパタール

それにしても雲が多くなるにつれて風も強くなり、寒くなってきた。温度計を見ると氷点下まで下がっている。ここは標高5545㍍もあるので、寒いのは当たり前か。しかし寒い。だんだん寒さに耐えきれなくなってきたので、あたりを見回すと、幸いなことに石が積まれた展望台のようなところがある。とりあえずここに避難して風をよけ、夕方までやることもないので昼寝をする。


ネパール エベレスト 夕焼け カラパタール

午後6時過ぎ、周りは相変わらず雲が多いが、不思議なことにエベレスト周辺の雲が少なくなってきた。このまま雲がなくなれ…、と祈っていると、本当に雲がなくなった。山の天気はわからないな、と思いながら、そのまま待つ。そして6時半ごろ、手前の山々はすっかり影になり、エベレストだけに夕日が当たっている、その山肌がだんだん赤くなってきた。オオ、待ちに待ったエベレストの夕焼けが始まった。時間にすれば、5分もなかったと思う。日の出から一日待っていてよかった!


ネパール エベレスト 夕焼け カラパタール

ところでこの夕焼けが始まったとき、日の出後のようにまたまた不思議なことが起こった。夕方、2,3のトレッキンググループがガイドに連れられカラパタールに上がってきた。ゴラクシェプに昼頃着いて、一休みした後にエベレストを見に登ってきたのだが、当然この時間にいるのだから夕焼けを見に来たのだと思っていた。それが驚いたことに、夕焼けが始まったと同時に下山をし始めたのだ。思わず「え、ここで帰るの?」と言ってしまった。


ネパール エベレスト カラパタール ゴラクシェプ


ネパール エベレスト カラパタール ゴラクシェプ

ただ夕焼けを撮影した後、自分が下山をし始めて、その理由が分かった。すぐにあたりは真っ暗になり、エベレストも急速に暗闇の中に消えていく。しかも下から上がってきた雲に包まれ、周りは視界がなくなる。幸いなことに登山道はくっきりトレースが付いているので、それを降りていけば自動的にロッジにたどり着けるので心配はなかったが、夕焼けを見ずに降りて行ったグループのガイドは、明るいうちにロッジにたどり着きたかったに違いない。複数のお客の安全を考えたら仕方がないのかもしれないが、やっぱりエベレストの夕焼けを見ずに降りるのはもったいない。

暗闇の中をヘッドライトの明かりを頼りに降りていったら、45分ほどでゴラクシェプのロッジの明かりが見えてきて、一安心。ロッジに到着したときは腹ペコ、食べたダルバートはこの上もなくおいしかった。

投稿者: asiansanpo

元読売新聞東京本社写真部。2016年3月、早期退職し、アウンサンスーチーの新政権が誕生したミャンマーに移り住み、1年半にわたり全土を回りながらミャンマーの「民主化元年」を撮影。2018年9月からは、エベレストのふもと、標高4000㍍の村で変わりゆくシェルパ族とともに9か月間生活した。日本では過疎地を拠点とし、衰退していく地方の実態を体験している。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Translate »