これは異常気象!?

今朝、起きてみてビックリ!なんと外は雪景色だった。昨夜激しい雨が降ってきて、同居(笑)している子猫が外からずぶぬれになって戻ってきたが、まさか夜のうちに雪に変わっているとは思わなかった。すでにこの一週間、毎日雨が続いている。3月中は雪が降ったり止んだりの天気が続いていて、「今年は雪が多いね」なんてみんなが言ってたのだが、もう4月も半ば。例年は春と言われている時期なのに、まだ雪が積もるとは…。村の人も言っているが、今年は最近続いている異常気象の中でも異常らしい。


ネパール エベレスト街道 クンデ 雪

それにしても、この天候はひどすぎる。本来なら乾季なので、ほとんど雨は降らないはず。南西アジアや東南アジア全体が異常気象かというと、そうでもなさそう。前に住んでいたミャンマーやタイなどは、この時期一年で一番暑い時期を迎える。新年でもあり、「水祭り」といって、暑さしのぎに無礼講で水をかけあって新年を祝っているが、別段今年が寒いわけでもなさそう。ミャンマーとネパールは地理的にもそれほど離れていないのに、なぜこんな天気が悪いのだろうか???


ネパール エベレスト街道 ルクラ 飛行機事故

異常気象とは関係ないが、今年のエベレスト街道はあまりいいことがない。2日前の15日、トレッキングの入り口になるルクラ空港で、プロペラ機が事故を起こして3人死亡という惨事が起きた。離陸しようとしていた飛行機が滑走路から外れて、ヘリの駐機場に突っ込んだという。

1か月半前、ちょうどヘリ2機と衝突した事故現場のすぐわきにあるロッジに泊まっていた。ここではルクラ空港のソーラーパネル設置工事が行われていて、日本のジャイカから派遣された日本人技術者8人が、まさにこの事故現場周辺で働いていた。巻き込まれなくてよかった。


ネパール エベレスト街道 ルクラ 飛行機事故


ネパール エベレスト街道 ルクラ空港

実はルクラ空港は世界でも最も難しい空港と言われており、1か月半前にも、別の事故を起こし谷底に落ちていた機体の引き上げ作業が行われていた。30年前にこの空港に来た時は、まだ滑走路が舗装されていなくて、地面の上で離着陸をしているような空港だった。その時も滑走路わきに壊れた機体が横たわっていたのを覚えている。実はよく飛行機事故が起きる空港なのだ。

写真を見てもわかるように、飛行機は谷底に向かって坂になっている滑走路を転げ落ちるようにして離陸。着陸の時は逆で、谷から滑走路に降りて、坂を上っていく途中で減速しながら止まるという、短い滑走路ながら急坂をうまく利用した空港だ。ただパイロットはかなりなテクニックが必要だ。

しかしこの事故、ちょっと不可解なのは、事故機が離陸時だったということ。離陸するときは、滑走路の一番上でいったん止まり、プロペラの回転数を上げて一気に坂を下っていく。事故現場はすぐ右下なので、動き出してすぐに右に滑走路を外れてしまった。何があったかわからないが、まだそんなにスピードも上がっていない機体をまっすぐ走らせられなかったことになる。

1か月半前に僕がカトマンズから乗ってきた飛行機が写真左のSummit Air。事故を起こした飛行機会社だった。ではこの飛行機会社が危ないのかというとそうではなく、どの航空会社も事故を起こす可能性がある。エベレスト街道を訪れるトレッッカーや登山者はここ数年、すごい勢いで増加している。そのほとんどがこのルクラ空港を利用する。というのは、ルクラまで自動車道がなく、飛行機を利用しないことにはエベレスト街道に入れないからだ。そこで飛行機各社は、もう限界に近い便数をルクラ空港に飛ばしている。ハイシーズンで1社1日15便、3社で45便ほどがこのルクラ空港に飛んできているという。駐機スペースは4機分しかないので、乗客を降ろすと、すぐに帰りの乗客を乗せ飛び立つ、まさにピストン輸送だ。こんなことをしていたら、いつ事故が起きてもおかしくない。ルクラ空港は世界一、技術的に離発着が難しい空港なのだが、実はそれだけではない理由で危ない空港なのだ。

なんて書いたら、カトマンズへの帰りが怖くなってきた。もうこれ以上、悪いことは起きないように…。とりあえずはこの異常気象が終わることを祈ろう。

投稿者: asiansanpo

元読売新聞東京本社写真部。2016年3月、早期退職し、アウンサンスーチーの新政権が誕生したミャンマーに移り住み、1年半にわたり全土を回りながらミャンマーの「民主化元年」を撮影。2018年9月からは、エベレストのふもと、標高4000㍍の村で変わりゆくシェルパ族とともに9か月間生活した。日本では過疎地を拠点とし、衰退していく地方の実態を体験している。

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