シュエボーの豪華すぎる得度式

ミャンマーツーリング。カタからシュエボーまで戻る。最近、あちこちで見かける得度式だが、シュエボーでも街中で得度式の行列が練り歩いていた。しかし今回の行列は、今まで見たものよりも断然規模が大きくて豪華。こんな小さなころに、主役としてこれほどの儀式を経験できる子供たちは幸せだ。

カタからシュエボーへ


ミャンマー カターシュエボー


ミャンマー カターシュエボー

午前8時半、カタを出発。30分ほど走った小さな村で人が集まっている。見ると輪の中心に一人の男性がいて、何やら講釈を述べている。日本の「寅さん」のような的屋だろうと思って見ていると、どうも違う。彼の目の前に小さな像が置いてあり、人々はそれに向かって手を出したりしている。この像は、ミャンマー独自の信仰であるピーの神様の一人として人気のある実在した人の像に似ている。新興宗教ではないだろうが、きっとご利益を説いているのだろう。


ミャンマー カターシュエボー

のどかな農村風景の中を走っていく。藁を高く積み上げた、お椀を逆さにしたような形のものは、家畜用のえさとなる干し草だが、こう見るとオブジェの芸術のように見える。


ミャンマー カターシュエボー 水牛

途中、水牛の群れが上の畑から道路の方に降りてきた。砂埃をたてて、あたりが真っ白になったが、そこに太陽の光線が逆行となって当たって、なかなか美しい光景となった。これだけ見ると、アフリカの野生の動物の写真のように見えないこともない。


ミャンマー カターシュエボー 

道はよくなったり悪くなったりしているが、時々、アスファルトではなくコンクリートの道になるときがある。本来なら、アスファルトの方が路面が柔らかくてバイクにはいいのだが、ミャンマーの舗装の技術では凸凹が激しく走りづらい。コンクリートの方が平らで走りやすいので、こちらとしてはありがたい。

途中でまた得度式


ミャンマー カターシュエボー 得度式

午後2時、途中でまた得度式のお祭りをやっている村を見かけた。最近、毎日どこかで見かけるが、仏門に入るシーズンなのだろう。ミャンマー全土で考えると、この時期は僧侶の数がものすごく増加しているに違いない。しかしここも小さな村ながら、立派な会場を作ったものだ。


ミャンマー カターシュエボー 得度式


ミャンマー カターシュエボー 得度式

会場ではすでにあの音楽付き漫才のようなものが行われているが、この村では女性がやっていた。村人はお祭り気分、すでに酔っぱらって踊っている人もいる。


会場の外にはいくつかの屋台が出ている。その一つに、おもちゃを売っている屋台があった。ミャンマーの各地でこういう屋台はたくさんあるのだが、日本のお祭りでも昔はよく見かけた。最近はどうだろう、もちろんあるのだろうけど、数は減ったように思う。この屋台で売られているような安物ですぐ壊れてしまうおもちゃよりも、もっといいものが普通に手に入る日本では、わざわざ屋台で買わないのだろう。

シュエボーで豪華な得度式


ミャンマー シュエボー 牛

行きにも通ったが、池のほとりに仏塔が立っている美しい場所がある。ちょうど通りかかったときに、放牧されている牛が池にいたので、仏塔と一緒に写真に収めてみた。なんとなくミャンマーらしい写真になったかな?


午後3時、無事シュエボーの街に到着。大通りを走っていると、女装した男性や獣の格好をした変な一団が歩いている。ミャンマーにもゲイは多いが、白昼堂々と大通りを歩いてはいないだろうし、お祭りにしては奇抜すぎる。よくわからないまま見送った。


と思っていたら、後からすごい行列がやってきた。美しく着飾った女性たちが次々と歩いてくる。さっきの女装した一団が一緒なのかどうかは不明だが、これは明らかに得度式のお祭り行列だろう。しかし今まで見たこともないような長い行列だ。さすが古都シュエボーの得度式。地方のものとは規模が違う。


ミャンマー シュエボー 得度式

ミャンマーチャットの札束を木の枝につけた供物を持っている人もいる。女性陣も美しく着飾っており、参加している人たちにとっても一大イベントだろう。




ミャンマー シュエボー 得度式

そして長い行列の最後に、やっと主役の子供たちが登場。子供たちは、自分たちが今日の主役というのをあまりわかってないような表情でおとなしく椅子に座って担がれているのだが、中には沿道の観客に向かって大きく手を挙げ、この人生の晴れ舞台に立つ自分を堂々とアピールしている子供もいる。なかなかの役者だな、と感心する。


ミャンマー シュエボー 得度式

市内での行列は寺院の境内の中に入っていき、本堂を3回回ったら解散となった。ただ主役たちはこれで終わるわけではない。本堂の中に入ると、片隅に記念写真用のコーナーができていて、各家族が次々とそこで写真を撮影していく。この写真は家族の宝物になっていくのだろう。


ミャンマー シュエボー 得度式

ただ主役たちはまだまだ幼い子供たち。記念写真を終え、アイスを食べているお兄ちゃんに、弟が「俺にもちょうだい」とせがむと、すました顔でもちゃんとあげている。ミャンマーでは、兄や姉が下の兄弟の面倒をよく見ているが、こうした何気ない仕草でも、仲のいい兄弟だとわかる。


ミャンマー シュエボー 得度式

一緒に行列に参加した人や参列者たちが別室に用意された食事を食べ終わったころに、記念写真を終えた主役の王子様たちがテーブルについて食事をとる。市内を連れまわされてお腹もすいていたのだろう、黙々と食べていた。


ミャンマー シュエボー 得度式


ミャンマー シュエボー 得度式

出家は男の子だけなのだが、得度式にはなぜか女の子たちも参加している。着飾っているが、髪形などは昔の王子様風なのか、ちょっと変わっている。幼い男の子は自分が今日の主役だとわかっているのだろうか、きっとした表情でりりしく振舞わっていた。


長い行列を追っかけていたもんで、こちらもすっかり暑さに参ってしまった。商店でアイスを買ったら、なんと日本語が書かれている。しかしよく読んでみると、表現がおかしい。「わあという味、味、すぐに味わってみに来る!」と書かれていて、意味がよくわからない。きっと日本語が少しわかるミャンマー人か中国人が、品質がいい日本製のアイスだと思わせるために日本語を付けたのではないかと想像する。しかしもう少しましな日本語を付けてほしかった…。


ミャンマー シュエボー 夕日

得度式を追っかけているうちに、日が暮れてしまった。今晩の宿を探さなければならないが、前に来た時に、この街にはましな宿がないことがわかっていたので、前回の宿に行くしかない。今日も無事、一日が終わりました。

投稿者: asiansanpo

元読売新聞東京本社写真部。2016年3月、早期退職し、アウンサンスーチーの新政権が誕生したミャンマーに移り住み、1年半にわたり全土を回りながらミャンマーの「民主化元年」を撮影。2018年9月からは、エベレストのふもと、標高4000㍍の村で変わりゆくシェルパ族とともに9か月間生活した。日本では過疎地を拠点とし、衰退していく地方の実態を体験している。

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