昼はカックー、夜は熱気球祭り

昨夜はバルーンフェスティバルが雨で中断されてしまったため、今夜もう一度見に行こうと決める。が、問題なのは宿。この祭りでタウンジーのホテルがどこも満室だったのだが、朝スタッフに聞いてみると、キャンセルが出たというので、すかさず今晩の予約を入れた。宿が確保でき、荷物を持たないで外出できるようになったので、45キロほど離れたカックーというところに行くことにした。


161110ミャンマー タウンジー1

宿を出てすぐにお祭りに出くわした。といってもおみこしのようなものは時計が付いていたり、傘がささっていたりとガラクタのようなものでできている。担いでいるのも学生たちで、学園祭のような感じだ。ただ何か仏教に関連する学校行事には違いないが、言葉が通じなくて結局何の行事かはわからなかった。


161110ミャンマー カックー通学


子供なのだが、先頭を行く男の子はりりしい顔立ち。きっとガキ大将に違いない。

タウンジーの街から離れていくと、道はだんだん細くなっていき、車が1台通るのがやっとという幅になった。学校の児童たちが歩いているが、すでに午前11時を過ぎているので、お昼休みで下校しているのだろう。田舎の風景はいいね。


ところどころにひまわりが一面花をつけていてきれいだ。そういえばミャンマーの人たちはひまわりの種を食べるので、その畑かもしれない。


161110ミャンマー パオ族
パオ族

道は昨夜の雨で濡れている。しかもこの辺の土壌は粘土質の赤土なので、道が濡れるとつるつるに滑る。バイクの後輪が時々流れてしまうので注意して走る。しかしこの雨は農家にとっては恵みの雨。畑では何かの種をまいている。この黒い服はカローの市場でも見かけたが、山岳少数民族のパオ族の人だろう。アジアでも民族衣装を着ているところが少なくなったが、まだミャンマーはこういう光景が残っている。

無数の仏塔が立ち並ぶカックー


161110ミャンマー カックー6

1時間半ほど走り、昼頃カックーに到着。ここは2478もの仏塔が集まる不思議な空間。12世紀にアラウンスィードゥー王が地元のパオ族とシャン族に仏塔を寄進せよと命令を出して作らせたという。展示されていた上空からの写真を見ても、数多くの仏塔がるのが分かる。


161110ミャンマー カックー5

仏塔はこのように林立している。ミャンマーのほかの地域の仏塔と違って、細長いのが特徴。中に入ると結構壊れてしまっている仏塔もあるが、その横で修復作業も行われていた。


161110ミャンマー カックー11


161110ミャンマー カックー12


161110ミャンマー カックー7


161110ミャンマー カックー13

仏塔の中には、様々な彫刻が施されている。これが一つ一つ見ていくと面白い。現代のミャンマー人とは似ていない顔立ちとファッション。これはパオ族やシャン族を描いているのだろうが、現代でもものすごくオシャレに見える。


入り口から入って中央の通りをまっすぐに進み、反対側の出口まで行くと馬の彫刻がある。これを見た時にどっかで見たことがあるな、と思ったのだが、よくよく考えてみると、昔学校で習った古墳時代の埴輪の馬にそっくり。おそらく作られた当時は日本と文化的なつながりはなかったであろうから、独自に馬を見立てたのであろうが、人間の描写力は意外とどこも同じだなあと感じた。


161110ミャンマー カックー8

この馬の近くに金色の豚の像があった。これはちゃんと囲われていて、豚の鼻の上にお金が供えられていたので神様なのだろう。説明を聞くと、この森を開くために尽力した豚の精霊なのだとか。


161110ミャンマー カックー10

カックーは、なんだかんだでおもしろく、気が付いてみると2時間半ほどじっくり見てしまった。

しかしだんだん天気が怪しくなってきて、黒雲が湧き出ている。こんな時に見るカックーはちょっと不気味だ。そんな心理状況も影響してか、今日も雨なのかとちょっと憂鬱になる。タウンジーのバルーンフェスティバルはまた中止なのかな?とりあえず急いでタウンジーまで帰ろう。

再びタウンジーのバルーンフェスティバルへ


161110ミャンマー タウンジーのバルーンフェスティバル

途中、やはり雨に降られたが、午後4時、ちょうどバルーンフェスティバルの会場近くを通ったので寄ってみると、昼間も熱気球が上がっていた。パンダの気球など結構かわいらしい。しかしやはり昼間はまだ熱気にかけている。夜の部を楽しみにまとう。


161110ミャンマー タウンジーのバルーンフェスティバル

そして午後7時、夜の部が始まる。まず太鼓などをたたきながら騒々しく会場に車の列が入ってきた。先頭には仏さまを描いた絵を祀っている。この時点で気球を上げるチームの人々は盛り上がっている。


161110ミャンマー タウンジーのバルーンフェスティバル

そして昨日と同じように気球に火を入れながら膨らませていき、その外側にキャンドルで模様を描く。気球の下にもキャンドルで飾りをつける。これが電飾ではなく全部燃えているキャンドルだからすごい。昨日と違って今日は風もなく、うまく上がっていく。


161110ミャンマー タウンジーのバルーンフェスティバル

熱気球の中には、下に単なる飾りではなく、花火の束を積んだものもある。これは上空に上がっていく途中で点火され、下に向かって花火が打ち下ろされる。うまく上がればきれいなのだが、重量はかなり重くなり、昨夜みたいに墜落、炎上という事故も時々起きる。時々死者が出る惨事にもなるらしい。


161110ミャンマー タウンジーのバルーンフェスティバル

気球を上げたチームの人々は、うまく上がればわいわい歌ったり踊ったりして喜んでいる。気球はどんどん上昇していき、やがて見えなくなるが、そこまで大騒ぎしている。しかしあの気球、いつかは落ちるのであろうが、どこに落ちるのであろうか?


161110タウンジー スラームニー・ローカチャンター・パヤー

ところが午後9時半、突然土砂降りとなり、昨夜に続いて中断。この時間になると雨が降り始めるのだろうか。1時間ほど待ったが止まないので、今晩も途中でホテルに戻ることにした。ただ今日はバイクで来ているので、昨夜みたいにヒッチハイクの必要はなかったが…。

帰り道、タウンジーの代表的なスラームニー・ローカチャンター寺院が雨にかすんで美しかった。

投稿者: asiansanpo

元読売新聞東京本社写真部。2016年3月、早期退職し、アウンサンスーチーの新政権が誕生したミャンマーに移り住み、1年半にわたり全土を回りながらミャンマーの「民主化元年」を撮影。2018年9月からは、エベレストのふもと、標高4000㍍の村で変わりゆくシェルパ族とともに9か月間生活した。日本では過疎地を拠点とし、衰退していく地方の実態を体験している。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Translate »